『誰も知らない』
親父が倒れた。
みんな知っている。
生死を彷徨っている。
これもみんな知っている。
これからきっと、俺たち家族は大変な思いをするだろう。
みんな覚悟している。
そんな中で俺1人進学をして良いのだろうか?
上京して掴み所の無い音楽の世界を目指して良いのだろうか?
誰でもいいから相談に乗ってもらいたいのに…
結局、決断は自分で行うしかないのかな…キミだけには話したかったな
進学先の申込書を書いた夜に親父が倒れた。
俺、仕事探しながら家手伝うよって笑顔で母に伝え、担任の教師に進学を諦め、就職先を探すと伝えた6時間前
泣きながら申込書を破り捨てたんだ。
その事は誰も知らない。