『4日前』
それは夏休みに入る直前の事だった。
後輩の祐介が話し掛けてきた。
ー先輩!あの、俺の彼女がM高校で吹奏楽やってるんですけど…
ーは?M高校の吹奏楽部?マジ?
驚いた! M高校の吹奏楽部にはタカがいる
ーで、彼女、部長なんですけど、演奏を教えて欲しいって言われたんですよ。
ーうん。で、なんで俺?ってか部長?彼女年上?
ーあ、そうです。で、パーカッションと低音を中心にって言われたので…
ーあのさ、俺さ、M高校…相性悪い気がするんだよね
ー事情は知ってます。
ーはぁ?誰にも言ってないのに…あ!彼女経由か?
ーはい。来週の土曜日、こっちは午前中に終わるので午後からお願いします!
ーえーー俺やだよ…ってか、俺が行くって決まってる言いぶりだよな
ー実は勝手に決めてました!
5月に会って以来だからな
俺から背中向けたのに会いに行く形になるけど…大丈夫かな
俺の顔見たら彼女、逃げ出しちゃうんじゃないのか…それともあの笑顔見れるかな?
M高校に行くまでの4日間、期待と不安
何とも言えない毎日を過ごした。