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真夜中に...想い出ばなしと…だらりんちょ

#047 Lost Summer -キミを失った夏-

『Lost Summer -キミを失った夏-』

 

 

 暑い夏の日。

 空は曇っていた。

 

 引っ越し直前だった夏休み。

 俺は部活に汗を流していた。

 3時過ぎだろうか?先生方が慌て出したのを今も覚えている。

 

 

 え?

 

 

 信じられないニュースを耳にした

 自分の耳を疑ったよ

 

 

 

 あいつが海に消えた

 

 

 

 そんな...あいつは運動神経抜群だし

 そんな...あいつに限ってそんな事...

 昨日だって一緒にバンドやろうぜって言ってたじゃないか

 

 頭の中がグルグルと回り出す

 

 あいつの笑顔が蘇る

 いつも悪ぶっていたくせに俺を認めてくれていた

 俺がトラブった時、誰よりも先に助けてくれたじゃないか

 

 

 眠れない夜が続く...

 

 

 あいつが海に消えて76時間…

 現実はあまりにも残酷だったよ

 

 あいつの葬式には行かなかった

 行けば絶対に泣いてしまうから

 

 バーカ、何泣いてんでよって...あいつは言うに決まってる

 バーカ、泣いてねーよって...あいつに言う自信が無かったから

 

 あいつの葬式には行かなかった

 

 死んだ事を絶対に認めたくないって思っていた

 あいつが死んだ事に恐怖を覚えていた

 

 だから、現実逃避したんだ

 あいつは遠い外国へ行ったと想う事にしたんだ

 

 そうすれば...残酷な想い出は時間が癒してくれる

 そうすれば...残酷な現実の痛みは優しい時間が忘れさせてくれる

 

 遠い国であいつは生きている

 あの年、ボクらは夏を失ったにすぎないんだ

 

 

 1989年 曇天模様の空の下、海の国へ召されたあいつの記憶よ永遠に。