『朝の地下道』
ボクの通学ルートを説明しよう。
自宅からの最寄り駅まで歩いて10分の距離。
そこから電車に乗り、約10分でターミナル駅に到着。
朝のラッシュに揉まれた大勢の乗客はホーム中央の階段を上って改札へ向かう。
しかしボクはホーム北側の端から別のホームへ向かう地下道へ降りる。
当時は”駅裏”と呼ばれていた改札から外に出て駐輪場に預けている自転車で学校へ向かう
これがボクの毎日。
はぁ...今日も眠たい。
学校になんか行きたくない…
チョットふて腐れたキモチの男子高校生
この階段を上れば改札口。
あっ…え?
ふと見上げた視線の先にキミがいた。
そっか、彼女はボクとは別の路線でこの駅へやってくる
そして駅からはバスで学校へ向かうんだったな。
一番右側の階段を上るボク
一番左側の階段を下るキミ
あぁ…お互いに気づいたね。
あっ…手を振ってきた…ボクは小さく振り返してみた
その笑顔が眩しいね
キミに会える一瞬があるならば…
眠たい朝も、ダルい通学路も何だか楽しかった。
だけど...
だけど...
朝の地下道[1990]
キミとすれ違う朝の地下道
微笑みながら手を振ってくる
そんな事に慣れないボクは少し遠慮しながら小さく手を振る
人ごみの中のほんの一瞬・・・1秒にも満たない出来事
朝の地下道 最近キミが見えない