ポケット貸して
『november rain』 温かい雨が二人の心を洗い流してくれるんだ キミはボクにこう言ったんだ ねぇ、どんな風に生きて行けば私はあなたが納得する女になれるかな? ボクはキミにこう言ったんだ いつも綺麗にしててとか、大人らしくしろなんて言わないよ。今の…
『職務質問』 埠頭の近く 遅い時間 夜の駐車場 今夜は晴れ渡っている 余計な灯がないからシートを倒せば窓から星空が見えるよ 少しだけ触れた手と手 少しだけロマンチックな雰囲気 キミは夜空を見て、ボクはその横顔を見ていた。 何気ない会話の中 助手席か…
『夏の日』 集合したのはどこだったか… ジュンも東京から帰ってくるし、シホとも連絡取れたから 久しぶりにみんなで集まって遊びに行こうとなった。 その日はナオヤの車と俺の車で移動してた。 ナオヤの車には淳とシホとイシダ 俺の車にはタカとナオコ 街外…
『五月雨』 ーねぇ… ナオヤくん東京から帰ってくるって本当? ーうん。 ーなんで? ーうん。 ー知らないの?言えないの? ーアイツのプライドもあるから俺からは言わない方がいい。アイツから話すまで普通に接してあげて ーうん。わかった。じゃぁ理由は聞か…
『アスレチック』 国立公園に行ってからわずか3日後 一緒に出かけたいから、彼女は休みなら迎えにこい!という事になった。 今回はちゃんとデニムとロンT という至って普通の服装でお迎え(笑) 買い物でも行きたいのかな?と思ってたらそうじゃなかった。 …
『国立公園』 ーねぇ、公園に連れて行ってよ!大きな公園ね この前、俺は泥酔してしまい…大きな迷惑をかけてしまった。 そのお詫びにというか…”お詫びに今度どこか連れて行ってね”の約束を実行することにしたんだ。 初めて訪れた国立公園 手入れが行き届いた…
『泥酔』 助けて… 世の中に出て初めての洗礼 新入社員歓迎会という名のイジメ 高校を卒業してしまえば未成年でも飲酒は黙認されるような時代 昔はこんな飲み会が当たり前だった。 殆ど酒が飲めなかった俺はスグに酔いが回り泥酔した。 酔っても酔っても酒を…
『TMF』 ー卒業記念にジュンがバンドメンバーミックスして大会に出ようって言うからね。良かったら見に来てよ ーうん。行けたら行くね ーおう。 高校の卒業式を目前にしてた頃、ジュンから連絡が入った。 東京に行く前にもう一度バンド組んで10代限定のコン…
『あなたの隣』 ほんの数週間前 私、あなたに言ったでしょ 「ライブ行ってもいいかな?」って あの時あなたは小さく頷いただけだった 本当は来てほしくなかった? もう、あなたは私の顔を見るのもイヤになってる? 何しに来たんだよって言われないかな? 何…
『帰りのバス』 私の先輩とその彼 あなたの後輩とその彼女 2人の巡り合わせはまた私たちを繋ぐのね 違う学校だけど 私たちは同じ音楽部 技術的なアドバイスをして欲しいってお願いされたんでしょ だから来てくれたんだでしょ ありがとう たわいもない一日が…
『4日前』 それは夏休みに入る直前の事だった。 後輩の祐介が話し掛けてきた。 ー先輩!あの、俺の彼女がM高校で吹奏楽やってるんですけど… ーは?M高校の吹奏楽部?マジ? 驚いた! M高校の吹奏楽部にはタカがいる ーで、彼女、部長なんですけど、演奏を教…
『ドライフラワー』 ベティが悪戯をするの。 まるであなたのようだわ ホワイト・クリスマスじゃなかったけれど、この街にもクリスマスはやってきて あなたは私に花束をくれたのよ。 待ち合わせの街 後ろ手に何か隠しているのは気付いていたけれど 真っ直ぐに…
『ガーベラ日記』 今はもう違うけれど 私の事を好きと言ってくれる人から花束をもらいました。 12月24日にもらいました。 この花束はピンクのガーベラが5本 かすみ草と名も知らぬ緑色の葉。 アレンジに薄いピンク色のシートとレースのリボンがかけてありまし…
『悲しい予感、さよならの予感』 悲しい予感 さよならの予感 何を考えても ただ謝ることばかり 何を考えても 自分を責めることばかり 私の心の中の悲しみの分だけ 私の心の中のさよならの辛さの分だけ 涙が出たわ 涙が後から後から出てきて止まらなかったわ …
『あきらかに別れの言葉』 あなたの今日の待ち合わせ場所 それはあきらかに別れの言葉 あなたの今日の笑い方 それはあきらかに別れの言葉 あなたの今日の話題の全て それはあきらかに別れの言葉 あなたの今日の視線の行方 それはあきらかに別れの言葉 あなた…
『屋上。』 ー話があるんだ 昨日の夜 電話の切り際に伝えたコトバ ボクは一体何を覚悟した? ーうん、わかった。 彼女は力なく小さな声で答える キミはボクの重苦しい雰囲気を感じ取ってしまったかい? 寒い1月の夕方 その日 ボクは思い詰めた表情をしていた…
『You』 あなたの気持ちを知ってから いく日もいく日も過ぎました。 私、あなたの所へ行けないかもしれない ねぇ、私がもしあなたの所へ行けなかったらどうするの? ずっと待たせているの... あなたは暗い霧の中。 ひとりで辛い時や悲しい時も暗い霧の中 私…
『冒険。』 クリスマスが終り、もう今年もあと数日で終わるかというある日の夕方。 ーなぁ、よかったら2人で年越しをしない? 17才の彼にとって、それはかなり大きな冒険への誘いだった。 ーうん、いいよ。 随分あっさりとOKを出した15歳の彼女にとっても、…
『Gerbera』 ーねぇ、クリスマスって何しているの?部活? ーえっと…バイトだね ー何時まで? ーえっと…18:00までだね ーそっかぁ... ーどうしたの? ーうん、バイト終わってから会える? ーもちろんいいよ。ドコか遊びに行く? ー家に行ってもいい? ーいい…
『10円玉の落書き』 ーねぇ、屋上に行こうよ。 その屈託のない笑顔は今日もボクだけの為に輝いていた。 ーいいけど...何しに行くの? ボクは知っている ーえ?何しにって...お話しにだよ ーだったらSS行った方が景色よくない? ボクはとっくに気が付いている…
『ブルゾンの悲劇!!』 それは12月に入って最初の日曜日 ー 今から遊びに行ってもいい? ー いいよ。 ボクが大好きな彼女は髪が長くて、感受性が強いステキな娘。 ロマンチストでボクによく詩を書いてくれてた。 思わせぶりな詩はボクをドキドキさせて 突き…
『ポケット貸して』 ーねぇ、聞こえないよ? ーちょっ...チョット待って...踏切の音が... 時刻は午後9時過ぎ 家の電話で長電話をすると親に文句を言われるから 大量の10円玉を近所の公衆電話に積み上げてたんだ。 ーゴメン、おまたせ。 ーうん。ねぇ、明日一…
『ミサンガ』 ーね、明日の朝なんだけど、電車いつもより1本早く乗ってくれない? ー別にいいけど、どうして? ーちょっと会いたいんだよんね ーわかった。7時15分の電車に乗るよ。 ー私、階段の所で待ってるから...じゃ、ちょっとまだ用事あるから明日ね …
『Angel』 ーねぇ、お茶しに行こう。 駅から少し歩いた雑居ビル 狭いエレベーター 何となく毎回来ている喫茶店に入るボクたち 初めて来た時からやる気が感じられない店員さんが迎えてくれる。 ーいらっしゃいませ~ どうぞ...何にします?~ ーじゃぁ、コー…
『待ち合わせはいつもの場所で』 その日、改札を出ると彼女はもう待っていた。 ーごめん、待たせたかな? ーううん、大丈夫。ちょっとだけだよ。 ーえっと...ドコに行こうか? ーねぇ、少しお茶しない? 彼女は歩き出してスグに言った。 ーいいよ。 駅から少…
『あなたの事が好きだけど。』 スタジオの帰り道。 みんなで歩いてドコかの店に向かっている道すがら ボクと彼女は少しみんなから遅れて歩いてた。 ナオヤとシホ、それからナオは別の話に夢中になっていた。 ーあのさ…これ、オリジナル用のとずっと前言って…
『ぎゅっ』 ーまた時間が合いそうなら一緒に帰ろう? ーそうだね。あ、一緒にそっちのホーム行こうか? ーうん。 2番線ホームの北側の端っこ キミが乗る電車のホームに向かう地下道の入口。 夕方の帰宅ラッシュより少し前...この時間は人通りが少ない。 ーあ…
『公園。』 原付に乗込んで走る事15分 キミが待つ病院の入口 ーごめんね...何かワガママ言っちゃったよね? ーワガママ?言ってないよ ーでも...長電話しちゃって...それで病院まで来てもらっちゃって...ゴメンね ーいや、逢いたいって言ったのは俺だから気…
『キミは知っている』 夏の忙しさも一段落してきた。 部活の合宿もイベント出演も何とかこなして やっと夏休みらしい夏休みの午後のこと。 ーもしもし? ーあ、私...今電話してても大丈夫? ーうん大丈夫だよ。周り騒がしいけど何かあったの? ーううん...用…
『天秤 -言えないわ-』 ーこの前はゴメンなさい...私、傷つけちゃったね... ーいいよ。 この前少し大きめのケンカをしてしまったんだ。 だけど、キミの顔を見れば許せるんだ ボクはキミを包み込みたいって思っているんだ ー良くないよ。あんなケンカ ーいや…