『さよなら、じいちゃん』
俺、コドモだったから良く意味がわからなかったんだ。
もうすぐ終業式を向かえる12月21日
突然、教頭先生が教室に入ってきて担任の由美子先生とヒソヒソ話
スグに俺の名前を呼んだ先生の表情は硬かったの覚えているよ。
ー 君、スグに家に帰りなさい。昇降口でお姉ちゃん待っているから
意味もわからずランドセルに荷物を詰めて昇降口へ向かう。
既に姉ちゃんは待っていて、早く準備をしろとボクを急かしてくる
ついて行くのがやっと...というより、ボクは走っているよって位のスピードで家路につく。
何か良くない事が起きたんだって言う事だけは何となく感じていた
家に戻ると電話の前で母がつっぷしていた。
ー じぃちゃん、仕事中に倒れてそのまま死んじゃったって
母が泣いていた。
そこからはあんまり記憶に残っていない。
どうやってじいちゃんの家に行ったかも覚えてないや
次に何となく覚えているのはじぃちゃんの家に着いた時でじぃちゃんはまだ帰ってきていなかった。
ボクは叔父に言われるまま簡単な手伝いをしはじめた
今と違ってお通夜もお葬式も自宅でやる時代だったからね
夕方、ばぁちゃんに付き添われてじぃちゃんが帰ってきた。
もう棺桶の中に入っていた。
坊さんの枕経怖かったな。
さよなら、じぃちゃん
人の亡骸を目にするのは初めてだった。
だけど、怖くなかったよ。
眠ってるだけのじいちゃんだもん。
さよなら、じぃちゃん
じいちゃんが火葬場の炉の中に入って行く最後のお別れ
めちゃくちゃ泣いたの覚えているよ
ソラヘ登って行く煙。
あれ、じいちゃんだろうか?
さよなら、じぃちゃん。
全てが終わった今日はクリスマス・イブだよ。
みんなの幸せ願って旅立ったって思っていいよね
そう言ってみんな笑顔でケーキ食べたよ。
ちょっと切なかったけど
じぃちゃん...逢いたいな。
じぃちゃん...元気にしてるだろうか?
うん。
さよなら、じぃちゃん