『ごめんなさい。』
太陽はボクを見ていた。
月もボクを見ていた。
小学6年生の夏、ボクはお金を盗んだ。
それはただ遊ぶ金欲しさにやったんだ。
太陽は知っている。
月も知っている。
ボクは毎日盗んだ。
母が管理していたお店の釣り銭を毎日盗んだ。
ずる賢く、バレない程度に手を出していた。
太陽があざ笑っている。
月もボクをあざ笑っている。
楽しい夏休みを過ごしたかったんだ。
お金を持っていれば友達が集まってきてたから...リーダーになれたから。
偽りの優越感が罪悪感を覆い隠していた。
今が楽しければ良いんだって思ってた。
ごめんなさい。
ボクは悪い子供です。
嫌な思いや苦しい思いをして手に入れたお金をボクは盗んでいたんだ。
働いたという証をボクは踏みにじってしまったんだ。
今ならわかる。
どうしようもない子供だったんだと。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ボクは悪い子供です。
1985年 忘れてしまいたいけど、絶対に忘れちゃいけない夏の出来事です。