『天秤 -言えないわ-』
ーこの前はゴメンなさい...私、傷つけちゃったね...
ーいいよ。
この前少し大きめのケンカをしてしまったんだ。
だけど、キミの顔を見れば許せるんだ
ボクはキミを包み込みたいって思っているんだ
ー良くないよ。あんなケンカ
ーいや、俺、うん、大丈夫…慣れてるから
本当はどう思っているの?
アナタはどうして私を攻めないの?
どうしてそんなに優しくするの?
ー嘘だよ。私ヒドい女だよ
ーそんな事ないよ。ヒドい女なら一緒に過そうって思ったりしないよ?
何か躊躇っている?
少しだけ沈黙が続く時間
お互いにコトバを探していた。
そして...
ー 私ね、あなたに詩を書いたんだ。
ー うん。読ませてくれる?
ー うん、いいけど1つお願いがあるの。
ー なーに?
ー 私の詩を読んだらね、あなたの詩でお返事が欲しいの...いい?
ー うん、わかった。
ー じゃぁ、これ...読んで下さい。...あとね...あのね...
ーうん?
ーううん...なんでもない
天秤
あなたはいつまで待っているのですか?
あなたは私をいつまで待つつもりですか?
私がこのままあなたの所へ行けるかどうかまだ分からないのに
あなたはそれでも待つつもりですか?
私の一言
私の一言で全てが決まるのですか?
私の一言
私の一言で全てが決まるのですね
でも私はあなたという大切な人を失いたくないばかり
好きとも嫌いとも言わずかわしてばかりです
そんな私をあなたは知っているのでしょうか?
こんなわがままでずるい私をあなたは知っているのでしょうか?
あなたはいつまでも待っているのですか?
あなたは私をいつまでも待つつもりですか?
こんなにわがままでずるい私より
もっといい娘を見つけて幸せになってほしい
でもこれはあなたの嫌いな言葉
言わない様にしたいけど
心の中のテープレコーダー
いつもリピートしています
これが私の悩みでしょうか?
これがあなたの怒りでしょうか?
右と左 同じ重さではないはずなのに
天秤がそのままです。
数日後、年上の彼氏が出来たらしいとナオヤから教えられた。
返事なんて書ける気分じゃないよ。
暑苦しい夏が始まりそうな予感だった。