『サンタクロースの涙』
明日はクリスマスイブ
ポストに赤いサンタクロースの手紙
差出人はマミ
便箋にはマミの綺麗な文字が並んでいた。
親父が倒れた事と5時間待った話をチカコから聞いた事
俺のそばにいたかったけど自分じゃどうしようもなかった事
推薦入試に落ちてしまって一般入試に臨むこと
そして『恋人』から『友達』に戻るって書いてあった
青天の霹靂だった。
今でも大好きだし逢いたくて仕方がない
だけど、望んだ人生に、夢に向かって集中する事が最優先
受験が終わるまで、結果が出るまでちゃんと待つ事にするって話したばかりだったのにどうしてこんな結末を迎えてしまうのだろう?
マミはもう決めた事だと言い切っている
だけど、あのカセットテープは返したくないからもらっておくって書いてた
とても綺麗な文字が強がっていた
そして所々滲んでいた。
読み終わって納得なんかできなかった
俺には何が足りなかったのかな?
俺は知らず知らずにマミを傷つけていたのかな?
最後まで愛してる。
と、糸をつぐむ様に想いを重ねているのに
最後まで愛している。
と、空を仰いで両手をいっぱい伸ばしているのに
あなたがいなくなる
そんな世界にはもう朝なんて来ないって負けそうになる
なんで毎年
大好きな女の子を泣かせているんだ
サンタクロースのイラストに涙の跡が見えた。
そんな悲しい顔をして書いたのかい?
そんな涙を落として書いたのかい?
最後まで愛していると言っても…
時間を止めてキミのもとに行きたいって願っても…
悲しいクリスマスカード
覚悟のクリスマスカード
サンタクロースが泣いていた。
なら、キミの覚悟を無視するわけにいかないじゃないか
今夜、大切に胸の奥にしまう事ができたなら もう何もいらない
サンタクロースに涙は似合わないのだから