back stage pass

真夜中に...想い出ばなしと…だらりんちょ

#183 TMF

TMF

 

 

 

 ー卒業記念にジュンがバンドメンバーミックスして大会に出ようって言うからね。良かったら見に来てよ

ーうん。行けたら行くね

 

 ーおう。

 

 

高校の卒業式を目前にしてた頃、ジュンから連絡が入った。

東京に行く前にもう一度バンド組んで10代限定のコンテスに出ないか?って誘われたんだ。

 

ずっとモヤモヤしてたから即答で参加することを決めた。

みんな見た目がとても10代には見えない男4人w

 

寄せ集めだからオリジナル曲なんて出来る訳ない

選んだのはメタリカのエンターサンドマン

 

ジュンが選んだのに「この曲じゃ若さがないって言われるなw」だって(笑)

まぁ、いいんじゃない?って事になり、予選も勝ち進んで何回目かのスタジオから帰った時、随分久しぶりにタカから電話が来た。

 

 

 ー卒業おめでとう。それだけ言いたかったんだ。

ーありがとう。何とか卒業できたよ。

 

 ーナオヤくんに色々聞いたよ…大変だったね。大丈夫?

ーうん…色々キツかったけど、今は大丈夫。

 

 ーTMF出るんだってね

 

 ー卒業記念にジュンがバンドメンバーミックスして大会に出ようって言うからね。あ、そうだ!良かったら見に来てよ

ーうん。行けたら行くね

 

3月の中旬

街の南側にある放送局の大きなステージ

俺たちはそこにいた。

 

去年も同じステージに立ってたなぁと

バンド内でイザコザ起きてコンテスト当日にトラブったこと笑いながらナオヤと話してた。

出番まであと30分、彼女がやってきたのを最初に気付いたのはナオヤ

 

 

 ーおーい!ここだー!

ーあーナオヤくん…みんないたんだね…みんな卒業おめでとう!もう終わった?

 

 ーいや、これからだよ。出るってよく知ってたね

ーううん、ジュンくんそうじゃないんだ。ちょっと前にYouに電話した時に聞いたの

 

 ーそうなのか?

ーうん、まぁ、ほら、な…最後っちゃー最後だしな

 

予定通り順番がやってきて、俺たちはステージへ向かった。

MCのコールで演奏を開始

 

前後のバンドがキラキラしてたからね…

俺たちの重苦しい雰囲気は一層重苦しく聞こえたに違いない(笑)

 

原曲はフェードアウトの曲だから終わりだけ勝手にアレンジしてたけど…すっかり忘れてしまい

1拍ブレイクして最後は掻き回しする所を間違えてしまったよ

”やるもんなーーー”ってバカにされながらステージを降りた

 

ロビーに戻るとタカはそこにいた。

 

ーお疲れ様♪ねぇ、今日は帰らなきゃならないんだ

 ー見に来てくれてありがとね

 

ーねぇ…今夜電話してもいいかな?家にいる?

 ーあぁ、もちろんいいよ

 

ーうん。

 

そんな会話をしながらスグ前のバス停まで彼女を送る。

ほとんど待つことなくバスがやって来た。

 

じゃ、気をつけて

 

バスに乗り込み窓際に座り小さく手を振る彼女を見送った桜まだ遠い早春の3月

止まっていた時計がぎこちなく...少しだけゆっくり動き出した気がした。

 

 

あ、コンテストの結果?

そりゃ長髪だったり髭面だったり…みんな革ジャンだもの…

選ばれるのはフレッシュ・キラキラな10代に決まってるさねw