back stage pass

真夜中に...想い出ばなしと…だらりんちょ

#195 国立公園

『国立公園』

 

 

 ーねぇ、公園に連れて行ってよ!大きな公園ね

 

 

この前、俺は泥酔してしまい…大きな迷惑をかけてしまった。

そのお詫びにというか…”お詫びに今度どこか連れて行ってね”の約束を実行することにしたんだ。

 

 

初めて訪れた国立公園

 

手入れが行き届いた花たちが咲き乱れ

そこらじゅうを彩っている。

 

たくさんの家族連れや恋人同士

みんな春の訪れを喜んでいるようにはしゃいでいる

 

俺たちも例外じゃないね

 

キミは花が好きだから楽しそうだね

 

ーね、この花わかる?これはね…

ーね。この花の花言葉知ってる?これはね…

 

花の前にしゃがみ込んで笑顔でこっちを向きながらたくさん話してくれる

 

ーちょっと!こっち来てちゃんと見てよ!

 

つられて俺も花の前にしゃがみ込んでキミの話を聞いていた。

へぇーと感心しているとキミは次の花壇に行こうと立ち上がる。

 

ーえ?行くの?

 

立ち上がったキミを下から見上げれば青のコントラスト

 

うん。

キミの上には青い空が一番似合うね

 

 

ーそうだ、ボートに乗ろう

 ーえ?次の花壇じゃないの?

 

ーいいの!ボートに乗ろうよ

 

 

人生2回目のボートだった。

初めて乗った時は結構ビビったけど今回は違ったよ。

 

何気ない会話の中、ボートは水面をなだらかに進んでいく。

少し離れた所まで行くと聞こえてくるのは森を通り抜ける風の音と鳥の囀り

 

 

ーデートみたいで楽しいね。と、呟いた。

 

 ーえ?デートでしょ

 

キミは即答したね。

 

 

なぁ、俺たち1年前さ…なんであんな事になってしまったのかな?

ここまで出かかったコトバは今は似合わないから飲み込んだ

 

 

帰り道、はしゃぎすぎて疲れちゃったかな?

助手席で眠るキミを横目で見ながら走ってたよ。

 

もうすぐ家に着く頃、目を覚ましてキミはこう言ったんだ

 

ー寝顔見てニヤニヤしてたでしょ?

 ーしてないよ!運転してたじゃん

 

ーうそ!絶対見てた。信号待ちしてる時ずっと見てた!

 ー見てないって…

 

ーうそ!エクボ見えてるもん

 ーま、まぁ…全く見てなかったわけじゃないけど…

 

ーねぇ、まだ時間あるから海に行こうよ。

 ー海?

 

ー埠頭の隣に公園あるじゃん

 

ーまた公園?いいの?

 ーいいの。高台あるから港一望できるし!

 

こうして俺たちは夕日が沈むまで埠頭が見える公園で過ごしたんだ。

 

 

 

それにしても…なんで俺はよりによってスーツなんか着て行ったんだ?(謎)