『職務質問』
埠頭の近く
遅い時間
夜の駐車場
今夜は晴れ渡っている
余計な灯がないからシートを倒せば窓から星空が見えるよ
少しだけ触れた手と手
少しだけロマンチックな雰囲気
キミは夜空を見て、ボクはその横顔を見ていた。
何気ない会話の中
助手席から見ていた夜空から彼女は視線をボクに向けた。
そこで彼女が言葉を放つ
ーねぇ、隣にパトカー来たよ
埠頭の近く
遅い時間
夜の駐車場
ポツンと1台だけ止まっていたから怪しまれたのかな
「こんばんは、警察です」
ボクも彼女も初めての職務質問
年齢を聞かれて19歳と言いながら免許証を差し出す。
「お嬢さんは同い年かな?」という質問に彼女は迷わず「はい、そうです」と答える。
え?そこで嘘言っちゃうの?
17歳だったのにw
ボクより肝が据わってた17歳
埠頭の近く
遅い時間
夜の駐車場
「それじゃ、早めに帰宅して下さいね」
数分で終わった職務質問
気づいたら彼女が震える手でボクの手を強く握っていた。