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真夜中に...想い出ばなしと…だらりんちょ

#310 手紙

『手紙 -香-』

 

 

彼を送って来ました。

反対方向に進むふたり。

 

やっぱり泣いてしまった。

 

泣かないでね

泣かないでねって

あんまり言うから(泣かせたいの?)って思っちゃった。

 

笑っていたのに

突然 涙がぽたぽた落ちた。

 

彼から手紙をもらった。

 

  ねぇ香ちゃん  

  お手紙書いたんだ。

  俺 字が汚いから何かあればパソコンで書くんだけど・・・

  ホテルの部屋にあった便箋と封筒なんだ。

 

  ごめんね。

  恥ずかしいから ひとりになったら読んで。

 

彼は手紙を私の車のハンドルの上にそっと置いた。

 

 

手紙にはあったこと

ひとつひとつ大切に思い出して書いてあった。

 

お迎えに行った駅での再会のこと

私が作ったお弁当のこと

一緒に見た映画のこと

焼き肉食べたこと

オムライス食べたこと

ドライブして山の中にある大きなイベント会場に行ったこと

温泉に行ったこと

ジンギスカンがおいしかったこと

 

毎日が楽しくて

その中にすべて私がいたこと

感謝の言葉だらけで・・・

 

そんなこと言わないで。

 

私だって一緒にいれて楽しかった。

いっぱいお話しできて嬉しかった。

知らなかったことがわかったり

仕事の話しを聞いたり

ふだんはあんまり食べないのに一緒だとびっくりするぐらい食べたり

 

彼のあたたかい手はいつもそばにあって

彼の感じるものはすべて私も同じく感じたし

 

でも冷めた部分もあるんだ。

 

ずっと一緒にいたらホントはこうじゃないはずだって。

小さなことも目についたり

言葉が引っかかってケンカになったり

 

ふだん逢えないぶん

 

もしかしたらお互いがいいところだけ見せてるだけなのかなって。

逢ってる時は無意識にいい部分を見せてる?

 

みんなそうなのかもしれないね。

 

この6日間にあったこと。

 

もしかしたら現実ではなくて

“そうであって欲しい現実”を夢見てただけの日々だったかもしれない。

 

確かにそうであっても

この6日間にあったことは本当にあったことで。

 

彼はまた来る。

 

必ず。