『泥酔』
助けて…
世の中に出て初めての洗礼
新入社員歓迎会という名のイジメ
高校を卒業してしまえば未成年でも飲酒は黙認されるような時代
昔はこんな飲み会が当たり前だった。
殆ど酒が飲めなかった俺はスグに酔いが回り泥酔した。
酔っても酔っても酒を強要されて記憶は殆ど残っていない。
で、
電話をしたらしい…
家にではなく、タカの家に
どこかのビルの片隅にあった公衆電話。
壁に寄りかかり何とか意識を保とうとしていた。
と、思う。
知らないおじさんに何度か”大丈夫か”と声をかけられた。
と、思う。
しばらくして酔い潰れた俺を探しに彼女は来てくれた。
俺を見つけて、俺の家に電話をかけて迎えに来るよう伝えてくれた。
彼女は最後まで付き合ってくれた。
ら、しい
そして俺は何とか家に帰った。
ら、しい
翌日、電話をした。
ー昨夜は本当に申し訳なかった...ごめんなさい。
ー平気?
ー少しダルいけど、大丈夫。
ーねぇ、飲めないんだから無理しちゃダメだよ…私がいなかったら警察にお世話になってたかもしれないんだよ!とはいえ、無理矢理飲まされたんでしょ…ひどい先輩たちだね
ーうん…断れない俺も悪い…反省してる
ーじゃ、お詫びに今度ドコか連れてってね
ーえ?うん…わかった。
何というか…変わらない優しさに心が震えた。