back stage pass

真夜中に...想い出ばなしと…だらりんちょ

#144 帰りのバス

『帰りのバス』

 

 

私の先輩とその彼

あなたの後輩とその彼女

 

2人の巡り合わせはまた私たちを繋ぐのね

 

違う学校だけど

私たちは同じ音楽部

 

技術的なアドバイスをして欲しいってお願いされたんでしょ

だから来てくれたんだでしょ

 

ありがとう

 

 

たわいもない一日が過ぎて帰りのバスの中

あなたは1人、前の方へ座る

 

みんながいた時は普通に接してくれていたのに

急に突き放すのはどうして?

そんなに冷たくしてほしくないの

 

「一緒に座ろう」

 

私、またワガママ言ってるのはわかっているの

あなたは黙って隣に座り直す

 

一緒に座ろうって言ったのは私だけど、交わす言葉が見つからない

風に靡く少しだけ長い髪のあなたを横目であなたを見ている

 

ねぇ、あなたの雰囲気が少し違うって感じるのは私だけ?

ねぇ、あなたは少し前に進んだのかな?

 

もうすぐ駅に着く頃にやっと交わした言葉

 

「来月のライブ行ってもいいかな?」

 

あなたは小さく頷くだけで”じゃ”って…

 

ねぇ、何かあった?

あなたに何が起きているの?

 

前に進めていないのは私の方なのかな