『学園祭』
私の学園祭に来て欲しいな。
そう言われたら
行かない訳ないじゃない
よく晴れた日曜日。
大会間近の練習は午前中で終了
その足でマミが通う高校へ向かった。
俺の高校から比較的近くて駅へ向かう途中にあるバリバリの女子高。
自転車止めて、正面口で受付をして…受付あるのか…
マミがいる円形校舎の3階へ向かう。
ここかなぁ?
チラッと覗くとマミはスグに気づいた。
ーあ、タカシくん!いらっしゃーい
ー彼氏?
マミと一緒にいた女の子がマミに聞く
ーうん。私の彼♪チョット出かけてくるね
ー行ってらっしゃい
ータカシくん、いこっ
ーう、うん
マミの案内で俺たちは校舎内を歩いた。
各部活やクラス毎に色々な出し物があって、できる限り1つ1つ見てまわったんだ。
ー本当はタカシくんと手を繋いで見たいんだけど…
ー繋ぐ?
ーううん、先生たちうるさいから…
ーあ、そっか、そうだね。
ーでも、帰りは手を繋いでね
ーう~ん…俺、チャリンコあるよ
ーそれでもいいのっ!
ーわかった。
新校舎の大きめの教室に差し掛かった時 ”おーい!タカシ!久しぶりじゃん!”
突然声を掛けられた。
声の主は中学時代の同級生だった。
ーあら、お前この学校だったんだ。
ー久しぶりじゃん、喫茶店やってるから寄ってきなよ。
そんな訳で同級生の部でやってた模擬店の席に座ってお茶を飲む事に。
ー彼女?
ーあぁ、そうだよ。俺の彼女
ーふーん…じゃ、ゆっくりね
ーありがとね
何か言いたそうな感じだったけど、これ以上の会話は何かしらマミに誤解を招いてしまう気がしたので早々に打ち切ったんだ
ーあ、そうだ、定期演奏会のチケットさ…
そう言いかけた瞬間、マミの表情が”わっ”と何かを思い出したような表情に変わった
ーわぁーーーーーーーごめんなさい!学園祭の準備に追われて…渡すはずのチケット私の机に置き忘れてきちゃった(泣)
ーあら…そっか…ま、郵便で送ってもらえればいいよね
ーえーほんとゴメンなさい…最悪だよ…チケット渡すから寄ってって言ったのに…
ー逢いたいから来てくれって言ったんじゃなかった?
チョットいじわる言ってみた
ーそ、それはそうだけど…
チョット困った表情もまた可愛いもんだなぁ
そんな事を思いつつポケットの中にしまい込んだ小さな紙袋を取り出した。
ーマミ、これ…
ーうん?なーに?
ー前にカセット作ってって言ってただろ?気に入ってもらえるかわからないけど作ったよ
ーえ?ほんとに?嬉しい!
そう言いながら紙袋の中を覗くマミ
ー手紙付き?
ーう~ん…ま、手紙ってか曲タイトル書いてある…ま、手紙っちゃー手紙だね
今すぐ開きたいって仕草をするマミ
俺は家に帰ってから開けてねって言ったんだ。
学園祭は3時に終了。
片付けやホームルームなんかあるからと校門の外で待っていた。
3時半すぎかな?
マミは笑顔で出てきた。
ーごめんね、お待たせしちゃったね
ーううん、いいよ大丈夫。
ーねぇ、制服同士で会うの久しぶりだよね。
ーそうだね…言われてみれば数えられるくらいだね
ーまだまだ先だけど、卒業式の時、2人制服で一緒に写真撮りたいな
ーなんで?
ーなんか青春じゃんって感じでしょ
ーそっかw それもいいアイディアだね。じゃ、そうしようね
ータカシくん、自転車だから手、繋げないね…そうだ!腕組んでいい?
ーいいけど…マミ歩き難くないか?
ーううん、大丈夫っ
まるで抱きついてくる様な勢いで腕を組んできたマミ
その勢いにちょっとグラついて倒れかけたから反対側に踏ん張った。
俺の腕にマミの腕が絡み、制服越しにマミの胸の感触が伝わる…
それから駅までの道のりはドキドキが止まらなかった。